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執筆:北嶺中学校 国語科 大谷 誓也

中学校の教室では様々な流行語が飛び交っています。
 最近の若者の中では「エモい」という言葉がよく聞こえてきます。小学生のみなさんはよく使ったりするんでしょうか?

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たとえば山の頂上から見える美しい景色を見たときに「この景色エモいわ〜。」というふうに使うみたいです。会話の中で感情が揺さぶられたときや予期せず感動したときに使うとよいそうです。英語の「emotional」(意味:感傷的、情緒的)が由来なのですね。
 私は、最初この言葉を聞いたとき、どういう意味なのか全くわかりませんでした。しかし、「古文」のとある言葉との共通点が見えてきたことで理解が進んだ気がするのです。本日はそのあたりについて触れたいと思います。
 

 さて、最近の北嶺中学校1年生は「古文」を習い始めました。最近の小学校では「竹取物語」(かぐや姫)の冒頭を学ぶこともあるようです。一般的に「古文」とは江戸時代以前に書かれた作品のことをいいます。みなさんも中学生になれば本格的に勉強し始めるんですよ。しかし、今と違う言葉で書かれた文章だからといって身構える必要はありません。

ここで鎌倉時代に吉田兼好(よしだけんこう)という人が書いた「徒然草」(つれづれぐさ)という本の一節を紹介します。現代語の「エモい」に通ずる言葉を以下から探してみましょう。昔の人も、何か心を揺さぶられたときに感動し、文字に残していたんですよ。

花は盛りに、月はくまなきをのみ見るものかは。雨に向かひて月を恋ひ、たれこめて春の行方知らぬも、なほあはれに情け深し。
(現代語訳:花は満開のときだけを、月はかげりもなく照り渡っているのだけを見るものであろうか、いやそうではない。降っている雨に向かって(見えない)月のことを恋しいと思い、すだれを垂らして室内にこもり春が移り行くのを知らずにいるのも、やはりしみじみとして情趣が深い。)
 

 どれか分かりましたか?
正解は「あはれに」という言葉です。現代語訳では「しみじみとして」という形で表現されています。
 そうなんです。「しみじみと」心動かされることがらに対して古文の世界では「あはれ」という言葉で表現するんですね。昔の人だって美しい風景や心ふるわせられる出来事に感動する心があったんです。これって「エモい」と通ずるところはありませんか?

 このように、現代人と古文の住人との間には使う言葉にちがいがありつつも、その「心」の部分は変わっていないのです。古くから日本人は、花や月を愛する心がありました。ふだんは忘れているかもしれませんが、現代の日本人もそのような心はあるはずです。
 これから秋も過ぎ、本格的な冬も近づいてきている今日この頃です。勉強や日々の生活に疲れたときは、ふと外に目をやり、季節の移ろいを感じてみるのはいかがでしょう。「あはれに」感じることがあるかもしれません。

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