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執筆:四天王寺高等学校中学校  理科教諭  天谷直樹

今回は, 簡単に自作できるモーターを紹介します。

電気モーターとは

電気モーター(電動機)は電気を運動の力に変換するはたらきをもつ装置で, 多くの家電製品に使われています。その仕組みはつぎの通りです。磁界(磁場)中におかれた導線に電流が流れると, その導線は磁場から力を受けます。これらの向きは図aに示すように, 左手の中指が電流, 人差し指が磁場, 親指が力の向きで与えられ, フレミングの左手の法則として一般に知られています。磁場や電流の大きさが大きいほど, 強い力が生まれますが, 電流が一定の大きさであっても導線を幾重にも重ねる(コイルにする)ことで, より強い力を得ることができます。

さっそくモーターを作ってみましょう

材料は, 乾電池, 磁石, 導線, ペーパークリップ, サンドペーパー, セロハンテープです。図cにコイルを使ったモーターの例を示しました。電池の両端にクリップの一端を伸ばしてテープで固定し, クリップの輪の中にコイルを通し, コイルの下に磁石を置くとコイルが回転を始めます。スムーズにモーターを回転させるためには, コイルの半径や巻き数をうまく調整する必要があります。巻き数が多すぎると, 重くて回りませんし, コイルの直径が小さすぎてもうまく回転しません。作成例は文末にくわしく示します*)。

さらに簡単なモーター

ここでもう一つ, もっと簡単なモーターの作り方も紹介しましょう。 図b, dに示した, ネオジム磁石を使ったモーターです。ネオジム磁石は, 銀色の金属光沢をもつ強力な磁石として知られています。実はこのネオジム磁石は電気を通す性質を持っている磁石なのです。これを利用すると, 乾電池の極にネオジム磁石をつけ, +極と極に接するように, 導線を加工してのせるとそれだけでモーターになります。ただし, 用いる導線の太さと磁石の大きさによってうまく回転のバランスをとれる組み合わせが異なるので, 実際に試してみてください。

さらに:モーターと発電機は逆のことをしている

これまで電気モーターについて説明してきましたが, 発電機は電気モーターの仕組みを逆に利用したものです。磁界(磁場)の中で, 力を加えてコイルを動かすと電気が発生します(これを電磁誘導の法則といいます)。みなさんの知っている発電の例を挙げてみましょう。防災用の手回しラジオなどは, ハンドルを回して発電機を動かして発電しています。風力発電では風の力を使って, 火力発電や原子力発電では発生した熱で水蒸気を作り, 蒸気の力を使って羽根車にふきつけて回し, 発電しています。

まとめ:興味をもってさまざまなものを観察してみよう

今回は電気モーターを通して電流と磁力と力の関係について学びました。また発電の仕組みが電気モーターと表裏一体であることも確認しました。
みなさんの身の回りには数えきれないほどの技術や物理現象がありますが, 一見すると異なる現象に思えるものも, 本質をたどれば同じ物理法則で説明できることもあるのです。

*)モーターの作成例(図c)

準備:導線(直径0.15mmを40cm程度), フェライト磁石, 単3乾電池, クリップ

1) コイルは, 丸い棒に導線を巻き付けて作成します。コイルの直径は2cm, 5回巻でコイルの束がほどけないように導線の端を2回束に巻いて固定します。このときコイルの両端には4cmほどの余裕を持たせておきます。

2) コイルの両端はクリップと接触する部分なので, 電気が通るように導線の被膜をサンドペーパーで下図のようにこすり落とします。両端とも被膜をすべてはがしていまうとうまく回転しません。

3) クリップの一端を伸ばして乾電池の+極と極にセロハンテープで固定します。

4) 乾電池を磁石ではさみ, クリップの間にコイルを通すと, コイルが回転を始めます。