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カトリック修道会のイエズス会を母体とする中高一貫校、六甲学院。こちらの学校では国際化する社会で活躍する人材を育成するために新たなプログラムを設置しています。そのうちの一つである「ニューヨーク研修」について今回は引率を担当された阿知波哲夫先生、西尾由子先生にお話を伺いました。

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六甲学院中学校・高等学校 阿知波哲夫先生、西尾由子先生と浜学園経営企画室渉外担当 山田

文化・民族の多様性を理解し、国際的な感覚を養う

―本日はよろしくお願いいたします。まずはニューヨーク研修の目的を簡単に教えてください。

高校1年生、2年生の希望者の中から約20名を選抜して実施しております。多民族が集まる、国際色豊かなニューヨークで異文化体験や六甲学院の姉妹校との交流を通じて、世界の文化や民族の多様性を理解し、国際的な感覚を養うことを目的としています。また、学問分野や経済産業分野で優れた社会貢献をしているアメリカ在住の六甲学院の卒業生からお話を伺ったり、会社を訪問したりして将来の目標や進路について考えることを目指しています。さらに、世界の経済・文化の中心であるニューヨークと、アメリカ合衆国建国の舞台であり名門高校を持つボストンの見学を通じて、広い視野を持ち、世界の平和に貢献するリーダーを育成することも目的としています。そして実際に生きた英語に触れ語学力を鍛えることを目指しています。

観光から始まり各施設の訪問まで

―実際のニューヨーク研修はどのようなプロセスで行われましたか。

まずは生徒たちにニューヨークに興味を持ってもらうことを目的に、観光としてニューヨークを周遊し、街全体を見渡すバスツアーを行いました。研修の移動手段は基本的に地下鉄を利用し、また日々の食事もフードコートなどを利用しました。生徒たち自身が英語でコミュニケーションをとらなければ移動も食事もできない環境でしたので、生徒たちはここでかなり日常会話の英語や生活力を鍛えられました。
全世界に800を超えるイエズス会の学校がありますが、今回はニューヨークにある姉妹校3校のイエズス会学校を訪問しました。それぞれの学校の授業に参加し、各校の生徒たちに英語で日本に関するプレゼンテーションをし、同年代の生徒たちと交流を深めました。その中には働きながら学校に通う生徒もおり、自分たちとの環境の違いを認識する貴重な機会となりました。また違いを認識する一方で同じキリスト教の学校であることもあり、本校の生徒たちと似通った部分が垣間見えることもありました。
他にもアメリカでのOB訪問やボストン見学、国連本部の訪問を行いました。これらについては後ほど述べさせていただきます。

個性あふれる3つの姉妹校

―姉妹校について詳しく教えてください。

訪れた姉妹校はフォーダム大学附属高校、クリストレイNY高校、セントピーターズ大学附属高校の3校で、それぞれ教育に特徴があります。フォーダム大学附属高校は六甲学院と同じように、リーダーシップ教育や社会奉仕活動に力を入れており、社会に貢献できる人間を育てる教育をしています。
クリストレイNY高校は低所得者の生徒を受け入れていることから、毎週金曜日に「ワークデー」というものを設け、生徒たちが実際に職場で働き、高校だけでなく大学で学ぶための学費を稼ぐ時間を作っています。その中で職業適性を知り、進路教育を学んでいくということが特徴です。またクリストレイの生徒たちはとても人懐っこく、六甲学院の生徒たちの手を引っ張って教室に連れて行ってくれるなど、他とは違う生徒たちの親しみやすさを感じました。
そして今年初めて訪れたセントピーターズ大学附属高校は国際交流に力を入れていることから語学教育が充実しており、フランス語、ドイツ語、中国語などの英語以外の言語を学ぶことができます。それだけではなく、理工系の専門科目が開講されていることや、各教室に電子黒板やホワイトボードがあることから、理工系やICTの教育にも強いです。
これらの3校は同じ地域にありますが、それぞれ個性的な特徴を持った学校であるため、訪問した全ての学校で生徒たちは様々な刺激を受けることができました。

OBの話から自分の将来を考える

―異文化の同年代の生徒さんと交流することで大きく成長できる良い機会ですね。では次にOB訪問について教えてください。

アメリカ在住の六甲学院の卒業生の方が働く、世界四大会計事務所の一つであるKPMG会計事務所に訪問しました。そこで異国の地アメリカで仕事をしていく上でどのようなことで苦労したか、また六甲での学びがどのようなところで役に立ったか、など六甲学院の卒業生だからこそ語れるたくさんのことを教えて頂きました。特に印象的だったものが、「海外で活躍するためには何が必要か」というお話でした。卒業生の方は、「才能や努力も必要ではあるが、それよりも誠実さと信頼関係を築くことが何よりも大事」とおっしゃっていました。
また米州住友商事の元社長にもお話を聞くことができ、ここでも「リーダーとして仲間の頑張りを正当に評価すること、多文化多様性を認めることが大事」というお言葉をいただきました。生徒たちが将来のビジョンを作っていくためにとても役に立つようなお話であり、また生徒たちも積極的に質問をして自分の将来について真剣に考える貴重な機会となりました。
その日の夜は医学から芸術まで様々な分野で活躍しているたくさんの六甲学院の卒業生が集うニューヨークのOB会(ニューヨーク伯友会)が歓迎パーティを催してくれました。一つのテーブルに2、3人のOBに座って頂き、アメリカでの経験をはじめ、様々なことを聞くことができました。ここでも貴重なお話を聞くことができ、中には「将来やりたいことが決まった」と言う生徒もいました。普段日本で生活しているだけでは分からないであろう、異なる考え方に触れられることが何よりも生徒たちに刺激を与えたと思います。

世界最高峰の大学、独立戦争の地を訪問

―生徒さんたちが将来について真剣に向き合うことができることは素晴らしいことですね。続いてボストン見学についてお聞かせください。

世界最高峰の大学、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学を見学しました。ハーバード大学見学中は英語のガイドさんについていただき、建物やドミトリーなどの話を聞きました。話に対して生徒たちも積極的に質問するようになり、姉妹校訪問などの経験の成果もあいまって、自分が本当に興味のあることに関する質問をできるようになっていきました。マサチューセッツ工科大学では伝統的に窓に色を塗り点灯してステンドグラスのようにするなど、ただ勉強に熱心なだけではなく、理系ならではのアート的な遊び要素を持つとても魅力的な大学でした。ここでも、生徒が学生のガイドさんの説明に必死に食らいつきながら質問をしていたことが印象的でした。
また、ニューヨーク、ボストンの街を見学しました。アメリカの歴史を学ぶということで、独立戦争の際に戦場となったレキシントン、コンコード、ノースブリッジなどをまわりました。独立戦争の様子だけでなく、アメリカの歴史がどのような意味を持つのか、どのように日本に影響を与えたかというようなことを実際に感じることが出来たようです。コンコードでは氷河によって作られたと言われているウォルデンポンドにも訪れ、美しい自然を目にして生徒たちもとても喜んでおりました。またガイドさんは生徒たちにアメリカに関するクイズを英語で出し、生徒たちはそれに積極的に応じることで耳が徐々に慣れ英語を聞き取れるようになりました。

国際平和について考える良い機会に

―国連本部やUNDP(国連開発計画)訪問はいかがでしたか。

こちらも英語のガイドさんについてもらいながら見学し、国際平和や様々な社会問題について認識を深めてもらいました。国連本部の中にある総会議場を見ることができ、その大きさに圧倒されると同時に、世界の平和について議論がなされている場であることから、自然と背筋が伸びました。中でも印象的だったものが、国連本部にある長崎から送られてきた、被爆して背中が溶けてしまっているマリア像でした。実際に戦争の悲惨さを物語るものを目の当たりにして、国際平和について考えるとても良い機会となりました。
その他にメトロポリタン美術館やブロードウェイミュージカルなどの、世界のトップクラスの文化に触れる機会がありました。世界三大美術館の一つでもあるメトロポリタン美術館には世界最高峰の作品が惜しげもなく飾られており、普段見ることのできない本物の美術に触れることができ、圧倒されるばかりでした。ミュージカルは日本でも馴染みのある「アラジン」を観劇しました。もちろん英語での上演でしたが、生徒たちがストーリー内での面白いところで笑っているところから彼らの英語力の向上を感じることができました。

失敗を恐れず、自分の意見を他者に発信できるように

―国連本部やメトロポリタン美術館、どれも普段味わうことのできない体験ですね。今回のニューヨーク研修を通して、生徒さんたちの様子はどのように変わりましたか。

研修に行くまでに生徒たちが自分の興味のある分野を探し、それについて調べて週に一度英語でプレゼン発表するという機会を設けております。はじめはカンペを見ながら発表していた生徒が、カンペを見ずに発表する生徒に触発されて、じゃあ自分もカンペ無しで頑張ろうとしているところを見て、事前学習の段階ではありますが、小さな成長を感じることができました。
現地では、最初はなかなか自分から質問できず、英語を話すことを躊躇したり恥ずかしがったりすることが多かったですが、姉妹校での交流やプレゼン発表、卒業生との交流などを通じて生徒たちは約十日間でとても成長することが出来ました。英語のコミュニケーション力以外に、失敗を恐れずに積極的に質問するという姿勢を身に着けることができたように感じます。さらに、単に異なる文化を理解するだけではなく、異なる文化であるからこそ生まれる素朴な疑問を素直に発信する力を身に着けることができたと感じます。国連本部では英語のガイドさんに英語で質問して「Good question!」と喜ばれることがありました。ただ相手の話すことを聞くだけのリスナーになるのではなく、自分の意見を他者に発信し、日々成長していく生徒たちをみて本当に嬉しく思いました。約十日間ですが、研修を通じて人間的にも成長することができる上に、自分の将来像をしっかり見定めて帰ってくることができています。

―どうもありがとうございました。


⇒六甲学院中学校・高等学校HP

取材日:2019年5月31日