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進学教室浜学園が独自の切り口で中学校を取材し、その魅力をお伝えしていきます。

神戸電鉄横山駅から徒歩すぐのところに位置する三田学園。四季の移ろいを実感できる自然豊かな環境にあり、自由闊達な校風の中で生徒たちが6年間を過ごします。今回は、恵まれた環境の中で大きな志を育み社会に貢献できる人を育成できるような教育活動を行っている、三田学園中学校・高等学校の松井校長先生にお話を伺いました。

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三田学園中学校・高等学校 校長 松井忠幸先生と浜学園経営企画室渉外担当 山田

社会に貢献でき、質実剛健・親愛包容な人材に

―本日はよろしくお願いいたします。はじめに、御校の建学の精神や教育方針について教えてください。

本校の教育方針は107年前の設立から変わらない、「社会に貢献できる人材の育成」というものです。本校は上級の学校へ進学するための学力を身につける場所でもありますが、それと同時に健全な感情と意見を持ち、世間一般について幅広く知っている常識のある人間を育てることも目標としています。そんな本校の建学の精神は「質実剛健・親愛包容」です。たゆまぬ努力で自らを鍛え、あたたかい心で包み込むように他者と接してほしいという思いが込められています。生徒たちには「自分に厳しく、人に優しくありなさい」と伝えています。

敷地内にたくさんの桜、丘の上までリラックスして通学

―御校の自然環境や素晴らしい立地についてお聞かせください。

校祖である小寺謙吉がのこした言葉、「平地にあえて学校をつくらず、小高い丘に学校を作りました。毎日の登下校で坂道を上り下りすることは自然と深呼吸をすることにつながります。」という通り、本校は小高い丘の上に設立されました。身体が鍛えられると同時に、リラックスした状態で通学できます。また、学校周囲の環境が人を育てるという考えに基づき、情操豊かな人を育むために、甲子園のグラウンド12個分・16万平方メートルもの広大な敷地内に木をたくさん植えました。春には満開の桜に囲まれて入学式や始業式を執り行うことができます。先月、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞された大村智先生が来校されましたが、その際にも「こんな環境の中で生活できることは、何ものにも代えがたいですね。」というお言葉をいただきました。

ICT教育、グローバル教育に注力

―近年社会の変化が著しいですが、それに対応した教育上の新たな取り組みがありましたら教えてください。

本校では社会の変化に合わせた教育として、ICT教育とグローバル教育に力を入れています。
ICT教育については、1500人いる生徒一人ひとりに1台ずつiPadを貸与するとともに、すべての教室に電子黒板を設置し、活用しています。生徒たちはそれらを用いて、プレゼンテーションを行なったり、授業内で映像や音声を利用したりしています。そのことで日常的に参加型・体験型の授業が実施できるようになりました。これは2020年度の大学入試改革にも対応できる「思考力・判断力・表現力」を伸ばすうえでも役立っていると考えています。

また、グローバル教育においては、海外研修を中心に据えています。中学3年生と高校1年生の希望者が春にオーストラリアで語学研修を行います。学校間交流を目的としており、現地の生徒とバディを組んで日々を過ごします。滞在はホームステイなので、多様な場面で英語に触れる機会が設定されています。このオーストラリアの研修は40名が定員なのですが、毎年70〜80名の応募があるため、昨夏から高校1、2年生を対象にカナダのバンクーバーでの語学研修もスタートしました。この研修では、ブリティッシュコロンビア大学のキャンパスで過ごすことになります。現地の英会話の先生の授業を受け、ホームステイすることによってコミュニケーション能力の向上や、異文化への理解力が深まります。

さらに、全員が参加する修学旅行も見直そうという動きがあります。今までは平和学習に重点を置き、行き先は沖縄としていました。しかし、海外に目を向けることも重要視されるようになってきた社会状況も鑑み、現中学3年生が高校2年生になるときから、行き先をシンガポールに変更することを検討しています。「ただ行った」という修学旅行にならないよう、事前の準備も含めて検討中です。

中学2年生では英語に触れる機会が2回になりました。1回目は夏休みに2日間かけて行う、ネイティヴの先生による英会話教室。2回目は11月に2泊3日で行われるグローバルキャンプです。2年生の冬に滋賀県で行なっていたスキー実習を見直し、グローバルキャンプを行うこととしました。日本に来ている留学生とコミュニケーションを取ったり、一緒にアクティビティをしたりすることによって、早い時期から英語を使うことを目的としています。中学2年生で本格的な英語に触れ、その後にオーストラリアでの語学研修、カナダでの語学研修というように、系統立ててプログラムを組んでいるのが特徴だといえます。

普段の授業で生徒たちと接するALTも3人に増やし、中学1年生からネイティヴの授業が受けられるようになりました。40人のクラスを2つに分け、一クラス20人という少人数で英語の授業を行なっています。先ほど述べたiPadを用いて、中学3年生では国や人物などのテーマを、高校では臓器提供や自然保護などのより発展したテーマを設定し、英語でプレゼンテーションを行なっています。

やりたいことを自由に取り組ませる

―御校の特色でもある、「主体性」を育む教育についてお聞かせください。

学校生活においては生徒に自由に取り組ませているところがポイントです。生徒がやりたいと言ってくることに対してはやらせたいと考えています。
本校のホームページに部活動を紹介する動画がアップされているのですが、これは生徒が作成したものです。
この春に卒業したある男子生徒が作成したものですが、各部活を紹介する動画を作りたいと言って企画書を自ら持ってきたことが始まりです。制作から編集までを自主的に行なっていました。将来の夢が映画監督であるという彼は、アメリカの映像系の大学に進学します。
(下の画像をクリックすると動画再生ページに移動します。)



また、京都大学が実施している「最先端科学の体験型学習講座 ELCAS(エルキャス)」という、未来を担う世代の育成を目標とした講座の募集に多数の生徒が主体的に応募しました。その選考に通過した生徒は月に1度土曜日に京都に行き、授業を受けています。最終プレゼンテーションでは優秀賞を獲得したようです。
また、大学研究者が“学び”に込めた思いを高校生に伝える機会、高校生には“新しい学び”の可能性を自らつかみ取る好機として、京都大学のiCeMS(アイセムス)と三田学園が連携して「京都大学iCeMS Caravan公開授業」というイベントが行われました。しかし、このイベントの会場で受講できる生徒には限りがありました。そんな中、ある教師が発した「サテライトで講義を聴講出来たらなぁ」という言葉に生徒たちが賛同し、多くのアイデアを出してくれ、生徒が中心となってサテライト会場を運営してくれました。

本校では数多くの著名な方々や大学の先生に講義をしてもらうこともあるのですが、その際には多くの生徒が手を挙げて質問し、気になることを聞く姿勢が身についています。そんな講演会のスピーカーを生徒たちが見つけてくることもあります。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)で働く方の講演を聞いた翌年には、さらに深い話が聞きたいと難民支援のNPOを調べてきた生徒がいました。その方に講演を行なっていただくと同時に、希望者を募って学習会も開いているようです。生徒が外の世界に触れたことによってさまざまな課題を自分事として捉え、行動した一例です。

さらに、夏休みに九州で開催されていた次世代リーダー塾での講演会に感銘を受け、「ぜひほかの生徒にも話を聞いてほしい」という思いから、本校でも講演を実現できるように企画しています。実際その方は沖縄から来校してくださり、生徒に講演してくださることになりました。
失敗を恐れずに企画を持ってきて、実際にそれを行動に移すというこの姿勢は数年前の生徒では考えられなかったことです。自ら枠を取り払っていく力を持つ生徒が多くいます。

高校1年生では全員がキャリア甲子園に挑戦するのですが、このプログラムでは企業とコラボレーションして行動を起こす際のアイデアを出すことが求められます。本校からは2グループが予選を突破し、東京で開かれた準決勝に進出しました。
キャリア甲子園で良い成績を収めた生徒などは全校生の前で表彰し、紹介することにしています。このことにより、周りの子から刺激をもらうことができているようです。OB・OGも生徒の活躍を楽しみにしてくれています。

より長く教科横断的な勉強を

―2022年には高校の教育カリキュラムが一新されると伺っておりますが、それに対する対策などはありますでしょうか。

はい。現中学1年生の文理選択を、従来の高校1年生でのタイミングから高校2年生でのタイミングに変えようとしています。文系・理系のくくりで勉強するのではなく、文理の枠を超えた教科横断的な勉強を1年でも長くしてほしいという思いがあります。社会に貢献できる人として、考える力を身につけ、ミスマッチのないように文理選択をしてほしいです。

―どうもありがとうございました。


⇒三田学園中学校・高等学校HP

取材日:2019年4月18日