全国屈指の名門校・灘校は、中高一貫の男子校です。東大合格者・医学部合格者を多く輩出している進学実績を誇る一方で、生徒の自主性を重んじる、自由な校風が知られています。
「灘中に合格する子は、学力のほかに何を持っているのか。」これは、浜学園が保護者からよく受ける質問です。その答えは、一つではありません。子どもによっても違いますし、周囲の環境にも左右されます。しかし、最難関中に合格するために、全受験生に共通して不可欠な能力があります。ここでは、浜学園の前学園長・橋本憲一の『灘中に合格する子は学力のほかに何を持っているのか』(ポプラ社,2020年)から、2つの力をご紹介します。
毎日長時間机に向かう子どもと、1時間もすれば疲れて勉強をやめてしまう子どもがいます。どちらの子どもが難関中受験で成功しやすいと思われますか?
子どもの集中力の持続時間を考えると、実は後者の方が圧倒的に質の良い学習をしていると言えます。集中力を切らしながらダラダラと何時間も勉強するより、集中して1時間勉強する習慣を身につけることが大切です。
例えば算数の場合、短時間でたくさんの問題を解くことが習慣づけられていると、難問であっても最短の時間で解く方法を考える癖がつきます。難問に対して構えて解くのではなく、パズルを解くような感覚で、解法が閃くようになるのです。
また、長時間の勉強で睡眠不足になると、体力的にも精神力的にも限界が来てしまいます。短時間で質の良い勉強をすることを軸に、健康管理を含め、保護者の方がバックアップをしてあげてください。
中学受験の勉強に適切なのは、予習中心の学習スタイルでしょうか、それとも復習に重きを置く学習スタイルでしょうか。
最終的に合格をつかみとる子どもには、身につけた学力を高めようとする前向きな気持ちが備わっています。では、そんな気持ちはどうすれば育つのかというと、「勉強の習慣性」が重要です。我が子に勉強の習慣をつけるのに苦労している保護者の方は多くいらっしゃいます。覚えておいていただきたいのは、子どもが勉強をやる気になるのは自分の解答に○がついた時だということです。○が続くほど、小学生の学習意欲は持続しやすくなります。小学生というのはまだ幼く、目的意識というほど考えがしっかりしていない年齢です。保護者や塾の指導者は、○がたくさんつくように勉強姿勢を整えてあげる必要があります。既に習ったことを繰り返す復習は、◯がつきやすい勉強スタイルです。中学受験までは復習に重きを置き、前向きに学習する習慣を身につけましょう。