偏差値が高かったり算数が得意だったりする方は「月1回の実力テストは、難しい問題を解けるようにならないと成績が上がらない」と思いがちかもしれません。しかし実は、偏差値が上がらない原因は、テストの最初に出てくる算数の計算問題など、いわゆる小問を落としていることにあるのです。これが実は一番痛いのです。
入試もそうなんですが、テストの結果にはグラデーションがつかないと困ります。つまり、入試で皆に100点を取られると合格・不合格をつけられないですから、当然、何らかの差がつくようにできているのです。普段これくらいのレベルの生徒たちなら解けるだろうという意図で出題されている問題を落とすと、目ざしている偏差値が出ないのです。
平均点は偏差値50です。質問者のお子さんの偏差値が55から60になかなか届かないということは、きっと算数は嫌いではないのだと思います。時々、正答率が低めの問題も解けたりするのだと思いますが、きっと正答率が60%くらいありそうなものを1題ないしは2題、落としているはずです。たまに正答率が20%くらいしかないような問題を正解したりすると、偏差値が大きく上がる。けれど、いつも正答率が60%くらいの問題を落としていたり、計算ミスをしたり、ということが続いているのだろうと思います。
これをなくしていく努力が非常に大事です。難しい問題を解けるようになれば偏差値が上がるという話ではありません。 3年生のお子さんですので、毎日計算練習などをしていくのはなかなか難しいかもしれませんが、これをきちんとミスしないようにしていくことが大事です。
計算用紙をきちんと使えている(書けている)子と使えていない子の差は、特に6年生くらいになると非常にはっきりと出てしまいます。 算数が苦手な子の計算用紙のぐちゃぐちゃなこと。 私は社会を教えているので、普段は受験期の生徒の計算用紙を見ることはありませんが、それでも見たときに「あ、これだな」と思います。 計算用紙を見た時点で「これ何番の問題の、どこの計算したな」というのが一目瞭然の子と、わからない子。これだけで正答率が高い問題を落とすか落とさないかが分かります。 算数の専門の先生から言わせたら違うのかもしれませんが、私が見る限り、算数の力の差というのはこの差なのだと思います。
「どこに何番の計算がある」というのがすぐに分かると、見直しをする時にミスしたところがわかりやすくなります。そして、そのような問題を落とさなくなるようになります。自分で自分に罠をかけたりしないということがとても大切です。
3年生のお子さんに「整理して、きれいに書きなさい」などと言うと、きっと、より小さく保護者の方が見えないような字で書こうとします。解決する一つの方法として、大きな紙で大きめに、わかりやすく書くという習慣をつけていただきたいと思います。 何か大きな白紙をわたして「計算を書きなさい」というところから始めて、最初の問題をミスしないようにしてほしいのです。
出題者が 「解くのはちょっと無理だろうな」と思って出している問題は、差がつくようにと作られたものなので、3年生の時点で必ず解けるようにならなければいけないというわけではありません。そのような問題は学年が上がったときに解けるようになっていくはずなので、それをやるより「今解けなくてはならない問題を落とさない」という発想を持ってほしいと思います。
特に学年が上がって4年生になると、文章題が長くなってきます。3年生の時に頭の中だけで問題を解いてきた子たちがこれに苦戦し始めます。そうすると、しっかりと計算を空白の部分に整理するという感覚を持っているかどうか、というのも大きな差になります。 そのための経験値として、おうちで計算するときは、大きめの紙で「どこにその問題の計算があるのか」「どこで間違えたのか」というのがわかりやすい状態を作っていただきたいと思います。これをさせておくと、4年生を乗り切る一つの力になるかと思います。このようにして正答率の高い問題を落とさなくなれば、きっと偏差値60にも乗ってくるようになると思います。ぜひ一度お試しになってください。